【旅は道連れ】BRM526神奈川600興津クラシック2018-04【世は情け】
2018.06.08 Fri 04:24 -edit-
善知鳥峠
中央分水嶺を形成する峠の一つ。
南側からのアプローチだと上昇量も勾配も大したことが無い。
今まで明るい内に通過した記憶が無いような気がする。
※開催前後を含む画像一式 ⇒ Google Photos
二度目のパンク。
御前崎からここまで150kmほど無事だったというのにいったい何が原因なのか。チューブを取り出しハンドポンプで空気を充填しても膨らまないので穴は大きそうだ。
ガシガシガシガシ…空気を注入し、チューブをチェック。
(あった!)
バルブからの距離約10cmほどのところにしっかり空いた穴ひとつ。
でもこれってリム側ど真ん中ではないか。ヘッドランプで手元を照らし、リムテープにささくれや欠損が無いか、ずれてスポークホールが露呈していないかを確認してみたものの目視では異状が見つけられない。慎重に指でなぞってみたもののやはり異状は感知できなかった。
(原因がはっきりしない内に新品のチューブに入れ替えてもリムテープ側に問題があるなら同じこと。新品チューブの温存と、もしかしたら補強の役に立つかも知れないからパッチ処理で凌ごう。)
そう判断してクイックパッチで穴を塞ぐことにした。結果から見ればこの判断はそれほど的外れではなかった。
ハンドポンプでの空気充填なので時間が掛った上、空気圧は不足気味だしそもそも御前崎で散々ハンドポンプを使ったお蔭で握力が低下しているし特に左右前腕がパンパン。
再び概ね5Bar程度(体感)まで空気充填を完了させたのちリスタート。
道の駅前を通過したけれど当然ながら四人の姿はない。
(この先はしばらく下り基調の後は飯田までアップダウンが繰り返される区間だからもしかしたら先行している三人に追い付くかも。※追い付くとしたら駒ヶ根以降だろうし)そんなことを考えながら数km進んだところでまたもやフロントにがたつき。
今回のブルベで三回目となるパンクである。
三度目のパンクで心が折れかけた
チューブを取り出し、ポンプで充填して穴チェック。
(なんてこった、さっきパッチで塞いだところとバルブを挟んで反対側じゃないか!)復旧の際向きが逆になってしまったということか。(それなら今度パッチ当てをすればひとまず問題解決か?)そんなことを思いながらパッチ当て処理を終了し、空気漏れが無いかハンドポンプで充填確認…が、膨らまない。
確認してみたら更にもう一つ穴がある、これも他二つと同様リム側ど真ん中。
何度も指でなぞり、文字通り舐めるようにチェックをしてみたのにリム側に異状は確認できなかった。
さすがにお手上げかも。
そんな情けないツィートを流してみたり。
とはいえお手上げだったとしてこの場からどうやって離脱したものか。最悪はチューブを入れずにタイヤを復旧して空気がまったく入っていない状態のタイヤでひとまず市街地まで降りるか。R500はそのくらいの扱いではびくともしないホイールであるというのは先人の情報で知っている。乗り心地とフレームへのダメージの方がむしろ心配というくらい。
その時ふと、フォークからホイールを外そうとしたとき思わず声が出そうになるくらい熱かった事を思い出した。
雨の十和田から戻って来て、すっかりブレーキシューがへたってしまっていたので交換したのだけれど、Shimanoのストックが一組しか無かったのでそれを後輪に使い、以前勢いで購入したままほぼデッドストック状態で残っていた、「効きが良い」と評判のSwissSt○pのブレーキシューをフロントに使ったのだ。そのブレーキシュー由来の発熱でパンクが誘発されている可能性があるのではないか。というか、自分の知識ではもうそれくらいしか原因が思い浮かばない。
(一か八か、チューブを新品に入れ替え、可能な限りフロントブレーキを使わないようにして走行すれば或いは走り切れるのではないか。)
そう判断し、掛川で購入した新品のチューブを取り出してみたところ、パッケージに書かれた数字を目にしたとき、軽い眩暈を覚えた。
700/28-32c … だ と !?
お~~~い、三太夫(PINARELLO FP3)の今現在のタイヤサイズ700/23cなんですけど?
23と28を読み間違えるとか、普通に老眼かよ。。。orz
それでも何とかしない訳にはいかないのでとにかく23cのタイヤに28cのチューブを押し込む作業に取り掛かる。タイヤのはめ方を誤ればチューブをビードに噛みこんでおシャカになりかねない。慎重に慎重に、チューブが弛まないように、それでいてタイヤビードを嵌める邪魔をしないように空気をこまめに足したり抜いたりしながらどうにか無事復旧。
そしてこの時の判断はやはり間違っておらず、極力フロントブレーキを使わずに走行していて少々当てるくらいの使い方をしていても信号待ちで前輪リムに触ると相当熱を持っていることが分かった。
まあそのお蔭でタイヤの空気圧はかなり高くなってくれたので助かったのだけれど、最終的にはパンクすることなく走り終わりまで進むことができたのであった。
新野峠以降のパンク対応二回で優に一時間以上浪費してしまった。
すっかり疲労困憊してリスタート。飯田に向かうアップダウンをうんざりしながら登って下りて。そんなこんなで走っている途中、いきなり襲いかかってきた睡魔。
想定していたより早い時刻だったがこれはパンク対応の際のハンドポンピングで相当体力を消耗しているのが原因だろう。
とにかく休めるところが無いか記憶を辿り、道の駅下條に24時間利用可能な休憩所があるのでとにかくそこまで辿り着くべく何とか睡魔をごまかしつつ、どうにかこうにか滑り込んだ。次のPCまでまだ170kmもあるしまだ全体で250kmほどしか走れていないもののこれ以上進むのは危険だと判断した。
道の駅信濃路下條の畳敷き休憩所(24時間利用可)
次のPCまで約170kmで10時間半残しなので既に一時間ほどビハインドになっているけれど、ここからは特に厳しい登りは無いのでAve.22-3KPHで走り切れる自信はある。単純計算で3時間半ビハインドでも間に合ってしまうということになるけれどそこまでのリスクは避けたい。
トイレ休憩等を見込んで20KPHで走るとしたら2.5時間のマージンが期待できるのでその時間を仮眠に充てられる。仮眠時間を120分として携帯のタイマーをセットして畳に横になる。
幸いなことに他に誰もいない。
アラームで目覚め、計画通り2.5時間のビハインドでおもむろにリスタート。下條から飯田、駒ヶ根、伊那に入る。残り80kmの地点で4時間丁度残し。思ったほどにはペースが上がっていないけれど深夜の時間帯だしそこまでに一度コンビニに立ち寄っているしまあ仕方なかろう。明るくなればもうちょいペースも上がる。感じ始めていた軽い眠気を散らそうとコンビニに入ってイートインでツィートをチェックしたりしながらアイスコーヒーをすする。
カツン!
目の前のガラスに何か固いものが当たったような音がしたので視線を上に向けてみたら白いスマホが視界に飛び込んできた。
(え?なに?)
スマホの主をよく見たら白地にピンクのAJベスト。
ぜっとさんだった。
本気で驚いている(Photo By ぜっとさん)
店外に出てみたらクロさん、虫さんもいる。
新野峠で聞いていた彼らの予定では一時間ビハインドで宿をリスタートするとの事だったはず。計画通りなら30分前くらいにここを通過していなけりゃならんのでは?
聞けば思いの外宿到着が遅れてしまったのでリスタートを30分遅らせたのだという。
ぜっと:でもトリさんいまこの時間にここにいてPCまで余裕だって判断してるでしょ?
わたし:この先のコース考えたら80kmで4時間あったら余裕だし、30分くらいマージン作れる気でいたよ。
ぜっと:オレもギリギリにはなるだろうけれど充分間に合うって判断してる。
そんな訳で再び四人のパックで先に進むことになった。
或いはこの時、若しくはその先で改めてぜっとさんに同行の意思確認を受けたときに単独で先行していれば認定を受けられたのかもしれない。けれど600kmの距離を走る中で、走行ペースも休憩計画も何一つ示し合わせていない上にお互い不測のトラブル、休憩計画の変更まであったというのにこういうタイミングで遭遇するということは、とりもなおさず今回はきっとこのパックで走る「えにし」があるに違いないと思えたのだ。
月曜日の出勤予定を有給休暇取得に切り換えようと判断したのはこの時だった。勿論この時点では完走して認定を受けるつもりだったけれど、興津に辿り着けるのは39時間台だろうと漠然と感じていた。当然自宅に帰るための終電には間に合わない。
(もう少し時間が経って、9時か10時頃になったら上司に月曜日休む旨メールで報告しよう。)そんなことを考えながら三人を後ろから追った。
3人+1のパック
夜が明ける
伊那街道小野宿
小野宿の北の外れが塩尻に抜ける善知鳥峠。
写真を撮り損ねたけれど、JR飯田線小野駅には昨年の安曇野600で命を救われた(笑)
すっかり明るくなった中、基本的にはぜっとさんとクロさんが前にいて若干距離を置いて虫さんとわたしという位置関係で進む時間が長かったので善知鳥峠に至るまであれこれととりとめの無いお話。
分水嶺である善知鳥峠、分水嶺の意味、中央分水嶺繋がりで十和田クラシックだったり、小野駅で命拾いした昨年の安曇野600の話だったり。
登りが随分キツそうだった虫さんの話し声がかなりうわずっていて力が無いのがやや気にかかった。
中央分水嶺を形成する峠の一つ善知鳥峠
この先、細かく記すものかどうか当初からかなり悩んでいたのだけれど、どうしても自分自身の事よりも一緒に走っていた虫さんの話が中心になってしまうため、自分自身の備忘録としての価値は低いと判断して細かい内容の記載は避け、残した画像にキャプションを添えるだけにしておく。
それでも状況を知りたいという方は虫さんご本人のエントリ「泣いて楽しんだ興津600の話 2日目」に目を通していただければ雰囲気は伝わるだろうし、その彼女の状況を眺めていただけのわたしが何かを書き記すのは屋上屋を重ねる行為のような気がする。
塩尻からサラダ街道-安曇野アートラインと進む
北アルプスの峰々を眺めつつ北上
安曇野アートライン
ちひろ美術館
大町市のマンホール
PC3から折り返し塩尻峠を越えて茅野に向かって下って行く
伊那のコンビニで再会してパックで走ることになったのが「えにし」によるものだったとしたら、最後の最後、茅野市内を走行中に継続断念を最初に口にしたのがわたしだったというのもまた「えにし」であったのだと思う。走行計画立案から前日移動、開催当日の先導をしていたぜっとさんに対して虫さん、クロさんが中止を切り出すのはきっと困難だし、基本的に前を牽いているぜっとさんは後続への配慮と並行してタイムマネジメントを行わなければならないのでどうしても判断が遅れてしまう。中止を切り出せるのは後方から状況を俯瞰していてもっともしがらみの少ないわたしをおいてほかに無かったし、それこそが今回の「えにし」が導いたことなのだと思う。
結局465km地点付近で中止を決め、ひとまず涼んで体調を戻し、状況次第で認定外の完走を指してリスタートするのかそれともここから帰京するのかを考えようということになり、まずは胃に食べ物を入れようということでバー○ヤンへ。主催者への連絡の後、今後どうするかの調整と食事。
バー○ヤンに移動
窓外に丁度外気温の電光表示が見えていたけれど、この時点で26-7℃あったのでリスタートするにしても当分先。気温が下がってからのリスタートとするともう一回オーバーナイトとなる。装備や体力を考えても現実的ではないので輪行エスケープを検討してみた。
ここで虫さんが”興津のゴール地点に戻ってマヤさん、田中さんを始めとしたスタッフに会いたい、限られた人数になったとしてもゴールする参加者を迎えたい。”と要望。
ぜっとさんが経路検索をかけていてふと”ここから特急二本乗り継いで興津まで戻ったら4時間はかかるうえに¥5,000-超えるんだけど、四人だったらレンタカー乗り捨てでもおんなじくらいじゃないか?”と言い出して検索、乗り捨て手数料が思いの外お高いものだったので若干電車利用を上回るけれど、移動の快適さをお金で買うと思えば非常にリーズナブルではないか。
という訳で茅野駅前のレンタカー営業所に移動。
大年(大歳)神社
営業所すぐそばにあった。
諏訪大社上社に関係する歴史ある神社。御柱を建てることはせず、代わりに七年ごとに素朴な鳥居を建て替えるのだそうである。
手続きを済ませ、自転車四台オトナ四人が余裕で乗り込めるサイズのハイエースを調達して一路興津へ。
デカい(笑)
ナビの表示では興津の駿河健康ランド到着予想時刻は21時頃。
ゴールクローズは22時なのでギリギリ隊な参加者と遭遇できるだろうし、来年以降二人が興津クラシックに挑戦する際の下見も兼ねられるというぜっとさんの提案で中部横断自動車道で六郷まで行き、以後はコースをトレースして走ることに。
このサイズの運転はめったにやらないので笑顔がひきつる
六郷から先、コースを正確にトレースして目論見通りゴールを指して走る参加者に遭遇。さすがに声を掛ける訳にはいかないので心でエールを飛ばし、前後に車も参加者もいないタイミングを見計らい、坂道に対して恐れを抱きはじめていたクロさん、虫さんのために登り坂を5-10KPHくらいで走ってみたり。
視点の高さと速度のお蔭で自転車での感覚と比較すると相当急坂の連続のように感じられてしまう。
そんなこんなでゴールの駿河健康ランドに到着。
駐車場に車を停めてゴール受付に向かおうとしたらゴール受付を済ませたけーこ隊長と行き会った。
さすがの完走です。
あれこれ言葉を交わした後、お風呂に向かう隊長と別れてゴール受付へ。
しばしだべって風呂に移動、館内着に着替えて再びゴール受付へ。最終走者がゴールして、受付の撤収をお手伝いしてから大広間に移動して軽く打ち上げ。
打ち上げの様子
こうしてあれこれ盛りだくさんだった2018年興津クラシックのBRMパートが終了したのでありました。
AJ神奈川スタッフ及び関係者の皆様ありがとうございました。
今年はかなり暑熱に苦しめられてしまった方が多かったようですが、参加の皆様お疲れ様でした。
また来年、駿河健康ランドでお会いできますように!
で、翌日観光した記録がこちらの⇒おまけ
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