【二泊三日の】約20年ぶりの(蔦七沼)赤沼へ【青森ひとり旅】
2020.07.28 Tue 12:57 -edit-
当日歩き回ったコース
STRAVAを起動するのを忘れていたので
地理院地図にルートを彩色してみた。
緑色は片道(約9km)水色は往復(約2.5km)
ほぼ20年ぶりに訪れた赤沼は本当にきれいだった。
【散策日:2020年7月24日(金)】
約20年前、当時携わった案件の為におよそ一年間青森県青森市内のワンルームマンションで暮らしていたことがあり、当時はとにかく週末ごとにあちこち歩き回って観光したものだった。
当時から馴染みになっていた『市乃蔵』の大将には”俺だって行ったことないところいっぱい行ってるよねえ(笑)”と、妙な感心をされてみたり。
その後何度か訪れる機会があった蔦温泉と蔦沼は別として、蔦七沼の残る六つはその当時氷雪の中の風景しか記憶にない。たしか訪れたのは2000年の4月末か5月初旬~中旬にかけての時期だったと思う。八甲田ゴールドライン傘松峠が通り抜けられるようになってすぐ、バスで仙人橋まで行ってかんじき(スノーシューズではない)を履いて赤沼を訪れ、二万五千分の一地形図とコンパスを携えていたので軽い気持ちで猿倉温泉を指して山中を歩き始めたら吹雪に出くわして危うく遭難しかけてしまったという間抜け極まる、しかも一歩間違えば命とりになりかねなかった過去がある。
その時得た教訓は『5mも10mも雪が積もった山中では地形図が全く役に立たない』という当たり前と言えば当たり前極まる事実なのであった。しかも這う這うの体で辿り着いた猿倉温泉はその時点でまだ冬季休業中だったし。ゴールドライン開通と同時に営業が再開される訳では無いということもその時初めて知った。無計画であれこれやらかすのは前世紀から連綿と受け継がれてきたわたしの本質なのである。
今回、直前に思いついた『二泊三日の青森ひとり旅』において、まず最優先は市乃蔵さんへのご挨拶。次いで今年の開催がお流れとなった遠征ブルべ『津軽200』において遠方からの参加者の宿として確保しておきながら開催が流れたためにキャンセルせざるを得なくなった民宿『台由(うてなゆう)』さんへのご挨拶と宿泊、三つめが蔦七沼再訪なのであった。
木曜日の昼過ぎに東京を出て夕方青森入りし、軽く青森港八甲田丸周辺を観光して台由さんにチェックイン、その日は特に飲みに出歩くでもなくさっさと就寝し、翌朝6時から利用可能な大浴場での朝風呂でさっぱりして6時半から朝食をしたため、レンタカーで八甲田を指して走り出したのは7時15分頃。萱野高原や城ヶ倉大橋、水連沼に少々寄り道しつつ蔦温泉から蔦沼周遊路に足を踏み入れたのは宿を出て二時間後の9時15分頃のこと。
蔦温泉前から蔦沼周遊路へ
記憶にあるよりもずっと快適な道に整備されていた。
誰とも行き会わない
前にも後ろにも人がいない、これぞまさしくソーシャルディスタンシング。東京で自宅に引きこもっていたところで食料や酒の調達で出歩いてしまうし、その方がよほど他人との接触機会が増えてしまう。健康的に三密回避できるシチュエーションが嬉しい限り。
八甲田周辺は丁度アジサイの盛り
基本的には土壌がアルカリ性なので青いものしか見かけない。
散策路脇の流れとよどみ
奥入瀬には流れという動的な美しさがあるけれど蔦七沼にはこうした静的な魅力がある。
蔦沼
ここまでは散策路もしっかり桟道が整備されていて水辺にはデッキまでしつらえられていて少々足腰に不安のある高齢者でも容易にアクセスできる。
デッキには家族連れと思しき二組、五名の先客がいたものの蔦沼から先の周遊路には向かわないような雰囲気。再び単独で周遊路に入ると、通路はごく普通の自然公園内の散策路といった風に変わる。
鏡沼
鏡沼と月沼の間にある穏やかな流れ
気持ちガスって来ていて雨粒がぱらぱら
とはいえ木の梢に遮られて雨粒自体は落ちて来ない、頭の上の方でさわさわと音がするだけ。
月沼
月沼から長沼に向かう途中、赤沼へ向かう分岐が。
記憶では『赤沼への往復は周遊路一周分を歩いた程度』だったので迷わず突っ込んでみたが、途中で記憶違いに思い至って後悔する羽目に陥った。
赤沼への分岐
何故こういう警告を無視して突っ込むのか。
この場所から赤沼のほとりまでの高低図
この半分くらいの距離、高低差だと(勝手に)信じて疑っていなかった。
静謐な空気に満ちたブナ原生林の中をのんびり
終始こんな感じの道なら少々距離があろうが高低差があろうが気にならなかったのに。
植生に変化が見られ、クマコザサが多くなって来た。
けれどもしっかりと刈り込まれていて朝の内の雨の影響で若干滑りやすくなっているものの道は歩きやすい。
刈り込まれた笹
このころはまだまだ余裕があったのだ。
そんなこんなでしばらく進むうち、道案内のリボンが落ちてしまっているところがちらほらと。刈り込みがしっかりできているところは視線を上げればすぐ次のリボンが見つかるものの、全行程の1/3ほど進んだ辺りで刈り込みはぱったり途切れてしまっていた。シーズンなので熊笹が枝打ちされているので歩きやすいし迷わない。 pic.twitter.com/nl34hfiQVH
— Trinity is 百日経つ前に詰みそうなうまなみさん (@tri1021) July 24, 2020
あちこちに落ちているリボン
茂みがうっそうとし始め、道を覆ってぱっと見では行く手がわからない。リボンを見失って数メートル進んだところで周囲を見回し、リボンを見つけて近寄ってみたら踏みつけられた道が左右に伸びているところに合流(=コースアウトして復帰)したことも二度三度ではなかった。
ここはまだリボンがすぐ見つかった
道すがら苔を眺めたり倒木のきのこを眺めたり
多少余裕があったものの、このあたりでどうもおかしいということをうすうす感じて来た、というか遅すぎたくらい。後で地形図を見返してみたら赤沼への道のりの1/3くらい、ちょうど刈り込みが途絶えたあたりのところまで進んでようやく(オレはこのルートで赤沼にアクセスしたことが無かった!)ということに思い至ったのであった。
脳裡に20年前の記憶が蘇る。「残雪の時期は蔦沼(周遊路)から赤沼に抜ける道は遭難の危険があるので使わない方が良い。」と、当時目にした山歩きガイドに銘記されていたので蔦沼からではなくR102仙人橋バス停から登山道を西進したのだ。一瞬蔦沼方面に引き返し、残る三つの沼を巡った後車で移動して赤沼を目指そうとも考えたけれど既に結構な時間歩いてしまったのでちょっとシャクな気がするという訳で行軍続行。赤沼見物後、昼過ぎに菅沼に行った際にはガスが出始めていたのでこの時ガスに巻かれなかったのは本当に僥倖であった。ガスに巻かれたら遭難する自信満々だった。。。
前言撤回。
— Trinity is 百日経つ前に詰みそうなうまなみさん (@tri1021) July 24, 2020
ガスったら迷う自身があるwww pic.twitter.com/bfia5BexBN
夜のうちに降ったと思しき雨のために笹を始めとした腰まである高さの下生えは大量にしずくを蓄えており、かき分けて進んでいるうちに全身びっしょりになっていた。
ピークを越えて道が下りになった時ようやく気が楽になったけれど、もう一度軽い登り返しがあり、うんざりしつつピークを越えて少々下ったところで視界に青いものが飛び込んで来た。
エメラルド色の水面
岸辺の道は一部危なっかしい
20年前はここから正面の対岸まで氷上を歩いて渡った
その20年前のデジカメ画像を引っ張り出してみようと当時焼いたCD-Rを取り出してみたもののわたしの手持ち機器では読み込めなかった。
当時クラウド的なつもりで個人運営ホームページのFTP鯖にもまとめてUPしてあったけれど、わたしが利用していたCoolOnlineがサービスを停止したことに伴いデータが消失してしまってから久しい。
20年前の往復コース
仙人橋バス停と赤沼、水面の氷上を西岸まで往復。
東側の岸辺
散策路(というか登山道)が唯一赤沼のほとりにアクセスできるのが東の端、赤沼沢の流れ出し付近になるのだけれど、そこに先客がおひと方。
先客:あれ?ここまで見かけなかったけどどこから?
オレ:いやあ、蔦沼から来ましたけれどビショビショ。
先客:あっちからかあ、大したもんだね。あそこ刈払いも出来ていないからしんどかったでしょ。
オレ:1/3くらいはちゃんと刈られていたんですけどね~。それ以降はほぼ手付かずな感じです。リボンも見失いかけたし。
しばらくあれこれ立ち話
オレ:ここに来るのは20年ぶりなんですよ。
先客:へ~~~?どちらから?
オレ:昨日東京から来て市内に泊まって今朝。都知事から外出自粛要請出ているのに東京からって言うとちょっと問題ありそうですけれど。
先客:なんで?山歩きしている分には出歩いたって関係ないじゃない。
ああ、やっぱり普通はそう感じるよなあ。
先客:でも20年前にここに来るってなかなか珍しいよね、登山が趣味なの?
オレ:趣味っちゃ趣味でしたね、北八甲田の山は全部登ったし。当時仕事で一年くらい青森市内にいたので休みのたびにあちこち行っていたんですよ。
先客:一年あったらいっぱい回れたろうね。
わたしが20年ぶりに赤沼を訪問したこと、いずれ南八甲田をのんびり歩き回りたいと考えていることや先客さんの趣味の話などあれこれ取り留めも無く。還暦を回っておられるという方だったけれど引き締まった身体で浅黒い肌をしていて、山岳スキーと山歩きとMTBを趣味にしていて連休中も八甲田で山岳スキーや残雪の尾根縦走を堪能していたという言にも頷ける。
”(スマホでノルディックスキーの動画を見せつつ)これがさ、昨日一緒に(八甲田の)大岳で滑ったアメリカ人が撮ってYouTubeにUPした動画。その人、今日は鳥海(山形県にある日本百名山に列せられたお山)に行ってるんだよねえ。だから俺は一人でのんびりここ来て蔦温泉あたりで軽く昼飯食って帰るんだよ。”
だそうで。
”今は盛りが過ぎちゃったけど半月くらい前だったら毛無岱(八甲田ロープウェイ山頂付近から下った湿原)はここまで色鮮やかに花が咲いていたんだよ!”と、スマホ画面をスワイプして色とりどりの花の画像を見せてくれたり。
そのほかにも雪山縦走だったり山岳スキーだったりの写真をこれでもかというくらい見せていただき本気で羨ましさを感じて軽く嫉妬wだって冬シーズンには週3、4日ペースで八甲田山を滑っているなんて聞いたら羨ましく思わない方が色々おかしい。
今回虫の撮影にはことごとくしくじっている
赤沼沢の流れ出し
ところどころぬかるみ
とはいえ傾斜は緩やかだし何より道はしっかりわかるので歩きやすい。
のんびり森林浴気分を味わいつつ
仙人橋登山口から国道を歩いて蔦温泉まで
後で地形図を見て気がついたけれど、途中の分岐を右に行けば700mくらいの距離をショートカットが出来たのだ。地形図くらい先に見ておこうや、オレ。相変わらず事前準備と詰めが甘い。
一旦蔦温泉に戻ったらちょうどさっき赤沼でお話させていただいた男性と行き会った。お互い軽く会釈してお別れ。お名前くらい伺っておくべきだったかとも思ったけれど、一期一会な感じもまた旅の味わい。
今度は蔦沼周遊路を時計回りに長沼まで行って戻って来ることに。
瓢箪沼
水面に浮かぶ白い泡のようなものはモリアオガエルの卵。よく見ると木の枝にも薄い褐色の泡のようなものが見える。
菅沼と長沼の間にある沼地
長沼
東西に細長い沼の東岸に東屋があって周囲は開けた広場になっている。
菅沼
ここにも岸辺に東屋があり、漏れ伝わって来た会話から類推すると祖父と孫息子二人らしき三人組がお弁当を食べつつにぎやかにやりとりしていた。水面は若干ガスって来ていて、水面を渡る二組の鴨の親子の姿がなかなか幻想的な雰囲気を醸し出していた。水面を見ると雨が降っていたようだったけれど、雨脚が弱かったのでブナの葉に遮られて全く降られている実感は無かった。
真っ白なきのこ
周遊路から菅沼へ分岐する丸太でできた階段の足元にあった。
食べたら三段ぬかしくらいで駆け上がれそう。もちろん食べていない。
20年ぶりに蔦七沼をコンプリートしてすっかり満足し、次の目的地である焼山の上高地食堂と奥入瀬石ヶ戸を指してレンタカーで移動開始。
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