【2012年夏】南の島にて-2/5【沈船群】
2020.02.07 Fri 12:48 -edit-
島の中で個人的に最も衝撃を受けた光景が
千鳥ヶ浜の沈船群だった。
直前まで日常業務が慌ただしく、事前の予備知識をほとんど持たずにバタバタと渡航してしまったので、多数の地下壕が残り、今なお遺骨収集作業が続いている。また枕元に置いたコップの水が一晩で減ったり夜中に行軍する旧帝国軍兵士の姿が見えたりすることがあるということくらいしか知らなかった。到着初日の午後、宿舎と作業場所との往復用に借り受けた車で島内をうろついていたときこの沈船群が眼前に広がったとき、車に乗っていた四人全員が”『猿の惑星』のラストシーンみたいだ…。”と感じたものの、後日遅れて入島してきた20代の後輩社員に”『猿の惑星』みたいだろ?”と訊いたら”いや、その映画知らないです。”と言われてセンチメンタリズムを味わった傷つきやすいグラスハートを抱えた不惑のおっさん四人組なのであった。この沈船群、この場で座礁したものではなく、硫黄島占領後に米軍が桟橋を構築する意図でその基礎とするために廃船にコンクリートを詰めて沈めたもので、それでも作業中の地盤隆起が激しく結局は計画が頓挫してしまって放置されたものだそうである。そもそもこれらは当初海面下11mに沈められたものだというからその隆起速度の速さが伺える。


摺鉢山から沈船群を眺める。
海水淡水化プラント取水口跡付近から。
※自衛隊が運用していた海水淡水化プラントの取水口も地盤隆起のために使い物にならなくなって放棄された。今現在は滑走路に降る雨水を溜池に貯留し、浄化して使っている。話によると東京水よりも更に高度に浄化されているのだとか。
<沈船群>
波の浸食に耐えたエンジンの残骸
大きさ比較のためにおっさんを並べてみました
『猿の惑星』というよりむしろ『天空の城ラピュタ』的なイメージ。
夕暮れどき
もっとも好きだった時間帯
ランニングで毎日そばを通過するのが楽しみでした。
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