【2012年夏】南の島にて-5/5(了)【遺物、遺構(日本軍-2)】
2020.02.17 Mon 12:37 -edit-
731部隊が発明した
当時世界最高水準の性能を誇った水ろ過装置
小笠原兵団司令部壕に残されている。
八八式七糎野戦高射砲(?)
【ミリオンダラーホール】と呼ばれる旧噴火口{※今年(=2012年)に入って水蒸気爆発を起こしたために周囲立ち入り禁止}にほど近い、千鳥ヶ浜の上に残る二つのトーチカ。銃眼の方向から考えて米軍の上陸作戦に対してはさほど役立てなかったと思う。故にそれほど損傷なく残っているのだろう。
千鳥飛行場跡近くの航空機を利用したトーチカ
飛行できなくなった航空機を捨て型枠にして外側に鉄筋コンクリートを打設したトーチカ。機体が朽ちても日の丸の塗装がコンクリートに転写されている。
-粟津壕-
-粟津壕-
粟津大尉率いる南地区隊、独立歩兵第309大隊の壕
【鎮魂の丘】付近の外周道路脇から地下を通って鎮魂の丘反対側に抜けられる(らしい)。比較的保存状態の良い壕らしいが中を覗いていないので何とも言えない。
【鎮魂の丘】付近の外周道路脇から地下を通って鎮魂の丘反対側に抜けられる(らしい)。比較的保存状態の良い壕らしいが中を覗いていないので何とも言えない。




-最後の突撃壕-
小笠原兵団長の栗林中将が最後の突撃を行う前に滞在していたといわれる壕。歩兵第145連隊壕の一つと思われる。この壕を含め付近の壕から数百名の将兵が総攻撃を行い玉砕した。これをもって、硫黄島における組織的戦闘が終わったとされる。壕内には鉄兜や食器などが残されている。
平成19年に収容作業が行われ59柱の御遺骨が収容されている。
厚生労働省HPより



壕入口
三箇所の入口が見えるが右の奥にもう一箇所入口がある。
入口付近には鉄兜等の遺品が並び、水や線香を供えた形跡がある。
わたしたちも線香を炊き、水を供えてお騒がせすることを詫びたものの、この日は照明を持ち合わせていなかったし、何より興味本位で足を踏み入れることがはばかられたので表から覗き込むだけに留めた。
壕周辺には銃弾があちこちに転がっていた
-南方空本部壕-
-南方空本部壕-
入口は現滑走路の外周道路直下にあるのでヒューム管(土管)を通ってアクセスすることになる。
地熱の高さのおかげでかなり高温になる壕が多い中、この壕の奥は島内で1、2を争う灼熱エリアである。奥まった場所にある斜めに上り勾配になっている通路を進むとある地点から先は熱気が【熱さ】ではなく【痛さ】と感じられてその場に留まることができない。まるで熱気が見えない壁となって立ちはだかっているかのようだった。発掘調査の際は自衛隊から耐熱スーツを借用して作業したそうである。壕内壁面には蒸着した銀(?)が付着してキラキラしている。
調査済みの壕は外部への通路を見失わないよう、PPリボンテープのガイドが設置されている。熱気と湿気でピンボケ、灼熱部分は撮影できなかった。
-大釜-
-大釜-
島北東部のジャングルの中にあった旧日本軍の炊事場。
-小笠原兵団司令部壕-
-小笠原兵団司令部壕-
【最期の突撃】まで栗林中将が指揮を行っていたとされる壕。
中央にあるのは石井部隊(731部隊)が発明した、当時世界最高水準の能力を持つ水濾過装置。
硫黄島占領時、米軍が躍起になってこの機械を探したが結局見つからず、返還後の遺骨収集作業時に見つかったそうである。因みに機械の手前に写るウィスキーのボトルはつい最近供えられたものだそうで、当然封は切られていなかったにもかかわらずウィスキー自体は残り1~2cm程度まで減っている。供えた人曰く”やっぱり中将が飲みに来ていらっしゃるんだよ。”



硫黄島占領時、米軍が躍起になってこの機械を探したが結局見つからず、返還後の遺骨収集作業時に見つかったそうである。因みに機械の手前に写るウィスキーのボトルはつい最近供えられたものだそうで、当然封は切られていなかったにもかかわらずウィスキー自体は残り1~2cm程度まで減っている。供えた人曰く”やっぱり中将が飲みに来ていらっしゃるんだよ。”
余談ではあるが、石井(731)部隊の悪名(?)を世に知らしめた【悪魔の飽食】は、その根拠がどこの公文書にも記録が残っておらず、掲載された写真の一部が偽物であるということを森村氏自身も認めていて根拠のない、もしくは非常に根拠脆弱な著作であることが既に明らかになっているにもかかわらず未だに【石井部隊=人体実験部隊】という認識でいる人が多く、名誉回復が正しいかたちでなされていないのはどういうわけなのだと個人的には非常にもやもやする。
著者の森村誠一氏の他の著作自体は非常に好きだったので非常に残念である。



司令部壕の中をぐるっと回って別の出口から出てみると、50mほど離れた医務科壕入口なのであった。ガイドがいなかったら絶対迷って出てこられなくなってる、こんなとこ。
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